高感受性 HSP(繊細さん)の情報館

HSPとは.

High Sensitive Personの略で、

HSPとは、外部からの刺激に対して非常に敏感に反応する気質を持つ人のことを指します。ネガティブな刺激や経験から悪影響を受けやすい一方で、ポジティブな刺激や経験からは良い影響を受けやすいという特性があります。つまり、良くも悪くも周囲の影響を受けやすい性質を持つのがHSPです。

この概念は、1991年頃から心理学者エレイン・アーロン博士の「高感受性」に関する研究によって確立されました。日本では「繊細さん」という呼称とともに、2020年頃から注目を集めています。ただし、日本では特に「生きづらさ」の側面に焦点が当てられることが多く、その結果としてHSPであることを特別視する風潮や、自己愛的な価値観が広がっている側面も否めません。

しかしながら、自身の「生きづらさ」に対してラベルが付いたことで、安心感を得た人が多いことも事実です。ただし、この「ラベル」は、あくまで相対的に感受性が強い人を指すものであり、医療的な診断を目的としたものではありません。そのため、HSPの定義は明確な基準があるわけではなく、研究者や当事者の解釈に委ねられる部分が大きいのが現状です。この辺りは、飯村周平さん著の「HSPブームの功罪を問う」がとても参考になります。


HSPの進化的な役割.

──『スマホ脳』が示す敏感さの価値

HSP(Highly Sensitive Person)、いわゆる「繊細さん」と呼ばれる気質は、現代では「生きづらさ」として捉えられることもあります。しかし、この特性は決して弱さではなく、むしろ人類の歴史の中で重要な役割を果たしてきたと考えられています。

スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンの著書『スマホ脳』では、現代人の脳がどのように進化し、どのように環境の変化に影響を受けやすいのかが説明されています。その中で、特に「環境の変化に敏感であること」が、かつての狩猟採集時代において生存において重要だったことが述べられています。この視点は、HSPとされる人々の特性とも共通点があると考えられます。

狩猟採集社会では、外部の小さな変化にいち早く気づくことが、生存率を高める要素の一つだったとされています。ほんのわずかな物音や気配の変化を察知し、危険を回避できる人がいたことで、集団全体が守られた可能性があります。これは、HSPの持つ「慎重さ」「共感力」「環境変化への高い感受性」といった特性とも重なる部分があり、HSPの敏感さが進化的に価値のあるものだったことを示唆しています。

現代社会では、この敏感さがストレスや情報過多によって負担となることもあります。しかし、環境の変化に対する敏感さが本来は生存に有利な特性であったことを理解すれば、自分の敏感さを前向きに捉えやすくなるかもしれません。


HSPはひとつの個性.

HSPの特性は人それぞれ異なります。HSPチェックリストなどの自己診断ツールは存在しますが、最終的に自分がHSPであるかどうかは、本人の感じ方によるものです。敏感な気質を持つ人は、その特性を理解し、自分自身を守る方法を学びながら、最大限に活かしていくことが重要です。

この「繊細さ」という力をどう活かすか、それとも向き合わずにただ苦しむのか。それを選ぶのは自分自身なのです。


HSPの主な特徴.

🔹 深く考え、物事をじっくり処理する
🔹 感受性が高く、周囲の変化を敏感に察知する
🔹 強い共感力を持ち、人の感情に影響を受けやすい
🔹 刺激に対して敏感で、音・光・香りなどに影響を受けやすい
🔹 短時間でも疲れやすく、一人の時間が必要


HSPチェックリスト

「自分がHSPかもしれない?」と感じた方は、HSPのチェックリストを活用してみてください。12個以上の質問に「はい」と答えた場合、HSPの気質があると考えられています。ただし、これはあくまで自己診断の目安であり、正式な診断を行うものではありません。

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このリストは、エレイン・N・アーロン博士の著書The Highly Sensitive Person」に基づいています。