
エッセンシャルオイルの作り方|香りの抽出方法と5つの製法
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自然の香りが生まれるまで
エッセンシャルオイルは、美しく魅力的な自然の恵み。
でもその1滴は、植物の力を凝縮した繊細なプロセスの中から生まれています。
この記事では、エッセンシャルオイルがどのように作られるのかをご紹介します。
エッセンシャルオイルとは?
エッセンシャルオイルは、植物から得られる揮発性の香り成分の混合物です。
たとえば、オレンジの皮をむいたときに飛び散るあの香り──
あれがまさにエッセンシャルオイルです。
「オイル」と呼ばれてはいますが、脂肪分は含まれていません。
植物の花・果実・種子・葉・樹皮・木部など、さまざまな部位から抽出されます。
香りの価格に差がある理由
エッセンシャルオイルの価格差は、主に以下の理由から生まれます:
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使用する植物の量
例:ローズオイル1kgを作るには約6,000kgの花びらが必要。 -
抽出方法の違い
柑橘系オイルのように抽出しやすいものは、価格も比較的お手頃です。
主な抽出方法5つ
1. 蒸留(スチーム蒸留)
植物に蒸気を通し、香り成分を含んだ蒸気を冷却・分離して抽出。
残った水は**ハイドロゾル(フローラルウォーター)**としても活用できます。
2. 圧搾(コールドプレス)
柑橘系の皮を低温で圧搾して抽出。
化学物質を使わず、香りがフレッシュに保たれます。
3. 乾式蒸留
主に木材を加熱して香り成分を蒸発させ、冷やして抽出。
ウッディ系のオイルによく用いられます。
4. CO₂抽出
二酸化炭素を使う現代的な方法。
品質と収率に優れますが、コストが高め。
5. アンフルラージュ(Enfleurage)
繊細な花の香りを抽出するための、古典的な技法。
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冷式:花を脂にのせて香りを吸着させる
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温式:脂を温めてから香りを吸着させる
→ 得られた脂は「ポマード」、さらに処理して「アブソリュート」になります。
香りの裏側にある、丁寧な手仕事
エッセンシャルオイルの価格や品質は、植物や製法によって大きく異なります。
でも、どのオイルにも共通しているのは「自然と人の手がつくる奇跡のプロセス」。
次にオイルを手に取るときは、その背景にある香りの旅路に思いを馳せてみてください。
2024年7月10日 記 / 翻訳・構成:FUUKA