「気づけばデスクの上が書類とケーブルで埋まっている」
「片付けなきゃと思いながら、結局手が止まって、気づけば別のことを考えている」
プリンストン大学神経科学研究所の研究チームは、視界に入る情報の乱雑さが、脳の情報処理能力そのものに影響することをfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた調査で明らかにしている。デスクが散らかると集中力が落ちるのは、性格や意志の弱さの問題ではなく、脳の仕組みから説明できる現象だと考えられている。
なぜデスクが散らかると集中力が落ちるのか
プリンストン大学神経科学研究所の研究では、体系化されていない複数の刺激(積み上がった書類、絡まったケーブル、雑多な小物)が視界に入り続けると、脳の視覚野がそれぞれの情報を処理しようとして競合し、限られた注意のリソースが消耗されていくことが示された。逆に、散らかった環境を整理したところ、集中力や情報処理能力が改善し、作業の生産性が高まったという報告もある。
つまり「片付いていないと落ち着かない」という感覚は、単なる好みの問題ではなく、脳が視界の情報を処理し続けることで生じる負荷そのものだといえる。特にデスクは仕事中ずっと視界に入り続ける空間であるため、この負荷が一日を通じて少しずつ集中力を削っていく。しかも厄介なのは、この負荷が本人にも気づかれにくい点だ。「今日はなんとなく集中できない」と感じるとき、原因が視界に入り続けていた雑然さにあると気づくことは少なく、寝不足や気分の問題だと片づけられがちである。
衣替えに見る、日本の「空間をリセットする」知恵
日本には古くから、季節の変わり目に身の回りや住まいを整え直す「衣替え」という習慣がある。平安時代の宮中行事「更衣(こうい)」がそのルーツのひとつと伝えられており、着るものだけでなく、部屋の調度品まで季節に合わせて入れ替えていたとされる。単に衣服を替える実用的な行為であると同時に、空間と心を新しい季節に合わせてリセットする節目としての意味も持っていたと考えられている。
この「定期的に空間を整え直す」という発想は、デスクという小さな空間にも応用できる。年に数回の衣替えのような大きな節目でなくても、一日の終わりに数分だけデスクをリセットする習慣を持つことで、翌日の自分が受け取る視覚情報の量を意識的にコントロールできる。衣替えが「季節ごとに一度、まとめて整える」行事だとすれば、デスクのリセットは「一日ごとに小さく整える」習慣であり、規模は違っても「区切りをつけて空間を整え直す」という根っこの発想は同じだと捉えることができる。
対策 — デスク空間を整える3つの習慣
視界から外す「一時置き」を作る
デスクの上をすべて片付けるのは難しくても、引き出しや箱を「一時置き」として用意し、今すぐ使わない書類や小物をそこに移すだけで、視界に入る情報量は大きく減らせる。ポイントは完璧に整理することではなく、視界からいったん外すことにある。
一日の終わりに5分だけ「小さな衣替え」をする
その日使ったものを元の場所に戻し、翌日使わないものをしまうだけの5分間を、仕事を終えるときの習慣にする。衣替えのように「区切りをつけて整え直す」という発想を、日単位の小さなサイクルに落とし込むイメージだ。
デスクトップやタブも同じ発想で整理する
視界に入る情報は、物理的なデスクの上だけではない。パソコンのデスクトップに散らばったファイルや、開きっぱなしのタブも同じように視覚的な負荷になりうる。物理的な一時置きと同じ考え方で、使い終えたファイルはフォルダにしまい、不要なタブは閉じる習慣を持つとよい。
香りで整える
デスクを整える習慣に、香りで空間を切り替える動作を組み合わせると、リセットの区切りがより意識しやすくなる。No.18 Field Resetは、自宅に限らず「なんとなく落ち着かない空間」を整えたいときに向けた香りとして作られている。オフィスのデスクのように、長時間同じ場所に留まり続ける空間の切り替えにも取り入れやすい。人が多く出入りする空間の重さをリセットしたいときには、No.10 Clean Energyもあわせて検討してみてほしい。気になる方はResetシリーズを見るとよい。
まとめ
- デスクが散らかると集中力が落ちるのは、視界の情報量が脳の処理能力に負荷をかけるためだと考えられている
- 日本の「衣替え」の発想は、季節単位だけでなく、一日単位の小さな空間リセットにも応用できる
- 「一時置き」を作り視界から外すだけでも、片付けの負担を減らしながら集中力を保ちやすくなる
- 物理的なデスクだけでなく、パソコンのデスクトップやタブの整理も同じ視点で見直すとよい
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参考:環境心理学における視覚的注意と認知負荷に関する研究分野、日本の年中行事・生活文化に関する一般的知見